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元島生

詩・文章・音源・あれこれ

寄り道

ちょっと寄り道をした

屋上から夕陽を見た

その時に僕は見つけた

柔らかく光る 屋根の間に

風に揺れる 娘の髪に

幼い頃  

祖父が 電車の通る時間に 線路沿いまで連れて行ってくれたこと

両親と街にウインドーショッピングしに行く予定だったのに

時間がないから今日はいけないと言われて たくさん泣いたこと

そういうことが思い出される

僕は電車を見たかったのではなかった

街に行きたかったのではなかった

知っていたのだ その時間の中に在るものを

祖父と見たものを  両親と見たかったものを 

僕は今 夕陽の中に見ている

いつのまにか生活の中に隠れてしまったそれを

世界の中に埋もれてしまったそれを

 

幼稚園の帰り道

「屋上に行きたい」

娘はたちはそう言ったのだった

娘たちもまた知っているのだ

 

世界の夕暮れを ただただ照らす 光の中で

これより大切なことは あまりないと思った

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