元島生

文章・音源・詩・活動・いろいろ

芝浜について

「また夢になるといけねぇ」 最後のダメ押しだった。立川談志の芝浜を聴いて、僕は最終的に酒を辞めることを決意した。 5年間1滴も呑まなかった。そう考えると、とてつもない物語の力。 しかし、引っ越しをして、封印は解かれた。 これが、一滴でも飲むと逆…

子ども・若者の自殺考 ~失われたギャングエイジ~

子ども・若者の自殺考 ~失われたギャングエイジ~ NPO法人場作りネット副理事長 元島生 渋谷の交差点。ハロウィンで仮想して騒ぐ若者たち。20代くらいだろうか。交差点を埋め尽くし、時は今とはしゃいでいる。その光景を見ながら、学童保育の指導員時代を思…

演劇つつじの乙女レビュー

三条会の「つつじの乙女」は「観てきた」というより「行ってきた」というのが近い。 夕暮れの冷たくなる空気。色の変わっていく山々。闇に吸い込まれる声。あれから一ヵ月近く経ってしまったが、どこか遠くに行ってきたような気がしている。 三階建てのビル…

優しさの行方

ミキの入院。病院に泊まっている。 エアコンの無い家から来たので、病院なのに凍死しそうだ。 同室のおばあちゃんは、86歳。1人ぼっち。 ミキのことを、いい子だ、いい子だと何度も言う。ミキの不安を和らげてくれる。 ミキは耳の手術前で、あまり聞こえてな…

問われれば

【問われれば】 なぜ唄うのかと問われれば ひとりぼっちだからと答える 世界はひとりぼっちの集まりだ 木立もビルも揺れる葉も 赤子も線路も夕立も この世に寂しさを持たないものは 何もない 便所でひとり 光が射してきて これ以上に綺麗なものがあるだろう…

居場所のない社会

駅から続く、昔ながらの商店街。シャッターも増えてきたが、八百屋や魚屋は元気だ。40年も若さを失わない、古いマネキン。学生が集まるクレープ屋。いつも同じ人がいるパチンコ屋。平日は、人もまばらだ。 近年、駅周辺の開発で、商店街を取り囲むようにして…

すきま

小春の唄やっぱいいなー。唄ってほしいなー。 youtu.be

お前が目を覚ませ

紅葉の効用は、光陽を航洋することによる、高揚。賞賛を乞うよな文章にて、ご機嫌を伺おうというわけだが、勝算はない。許しをこそ、請いたい。 韻を踏むというより、漢字で暇を踏んでいる感じ。暇なのかと言われれば、やることは目の前に山積しているのであ…

ゆれる

タスクをこなす。 ひたすら消していく。 何を成し遂げたのだろうか。 何を成し遂げたいのだろうか。 僕の日々の中で、最も大きな意味を持つ行為は、最も小さな行為。 この世界の平和は、僕の内面にこそ完成する。 自分自身に取り組むことこそが、最も大きな…

習慣の悪魔

パソコンを、リュックごと家に置いてきた。 これはちょっとした勇気を必要とした。やるべき仕事は、常にある。いつもの電車。だが、傍には、ギターとウクレレ。肩掛けには2冊の単行本と携帯と蜂蜜。今日は、仕事を休んで、施設にライブに行く。ふらりと旅行…

枯渇

通勤電車。帰り。30分間。じっとしていられないような、いたたまれないような。 疲れからか。 こういう時がよくある。 そんな時は、思いつくままに何か書いてみる。 「枯渇」。ただ浮かんだに過ぎない。 渇き枯れた状態。すべて無くなった状態。 しかし、…

雨に打たれた 体が冷たい 喉が痛い 風邪だろうと思う 電車は満員 どこまでも孤独

絶望しないように

大麻だったか、何だったか、そんな類のものを手渡されて、それを家に持って帰るか、随分と悩んだ夢をみた。悪魔は優しい顔して、僕の小さな絶望に、近づいてくる。誰にもそんなタイミングはあるはずだ。紙一重だ。 すぐ近くに、いつもいる。 はねのけるには…

静かな言葉

嘔吐 台所でははらわたを出された魚が跳ねるのを笑ったという食卓ではまだ動くその肉を笑ったというナチの収容所では足を切った人間が切られた人間を笑ったという切った足に竹を突き刺し歩かせてころんだら笑ったというある療養所では義眼を入れかつらをかむ…

物語を採用しない生き方~杉田水脈発言から~

「同性愛者の自殺率は、6倍も上がる」 それを笑って話す国会議員と取り巻き。 寒気と言うのか、嫌悪と言うのか、自分自身の負の感情によって自分の心が汚れていくような感じがした。 辛くて最後まで観るのに骨が折れた。 何人かの友達の顔が浮かんだ。 今回…

鬼 「鬼になる気はあるの?」 唐突に言われ、僕は箸を置いた。 平和な朝食中に、苦難はやってきたのだ。 人生には、鬼にならなければならん時も、あるのだろう。 腹を括り、妻を見据えた。 「何があった」 そう聞くと 「ゆいが節分の豆まき楽しみにしてるの…

見る

雷が鳴っていた今にもざーと来そうな街僕は駅に急いだ ギリギリ駅舎に滑り込みホッとして 灰色の雲を 見あげたその時 はっきりと僕の世界は変わったまるで磨りガラスのメガネを外したかのように その時 雲がしっかりと見えたそれは長く忘れていた感覚だった…

苦しみから始める

女性被害者とバックラッシュ 最近、気になっていることがある。 女性の権利運動に対する攻撃や、レイプ被害を訴える女性を非難するという人たちの存在。 人権運動という視点で見れば、いわゆるバックラッシュ。 それは、人権運動には付き物で、歴史上必ず起…

信仰

僕は女性を非難したくない 例え自分がみじめな男だと気づいてしまっても 僕は補助で暮らしている人を非難したくない 例え自分が理不尽な目にさらされていても 僕は誰かに出ていけと言いたくない 例え自分が追い出される恐怖の中に生きていようとも 僕は誰か…

そうまでして

そうまでして自分を守らなければならないのだ 在日だ、安部だと絶対悪を作り上げてまで レイプを告発した勇気ある女性を誹謗中傷してまで そうまでして自分を肯定しなければ、自分が社会の中の意味ある一人だと思えないのだ 結婚できない自分 社会的地位が低…

友人からの手紙

新しいCDありがとうございました。 自分の心情に馴染んでくれる曲ばかりで、いつも大切に聴いています。 こちらの方は相変わらずですが、最近も妻が仕事を終え、家に帰ってきて辛い思いを抱えながら話をする時があります(彼女は彼女なりの現実をサバイヴし…

意味

意味 今日は遠足で、動物園に行くのだという 「茶臼山?」 「うん。そうだよ」 5歳になる三女は、納豆をかき混ぜながら頷いた 茶臼山動物園は、7年か8年前に行ったきり まだ、てくてく歩きの長女と 青葉のような夫婦 チューリップ花壇の前で、写真を撮った…

2割

死んだじいちゃんが夢に出てきて、一緒に歩こうと言った歩きながら話をした2割の力で乗り越えられることと、8割出さないと乗り越えられないこと、どっちが面白いと思うかと聞いてきた。僕は、2割があまり面白くない事は分かると言った。そのあと、弟が出てき…

元島生さようなライブ

場は生き物だと思う 体温のある場がいい場だと思う 風邪もひくし、走ったり、さぼったりする 食べたり、吐いたりする 常に変わっていく 人間にはそういう場が必要だと思う 最後にこういう瞬間が作れたことは この上ない幸せでした 次の土地で何ができるかな…

動的平衡

僕らは、ある流れの中で生きている。 生き物の細胞は常に生死を繰り返し、半年もすれば、すべて入れ替わってしまう。 細胞をさらに細かくしていくと、原子というものになり、ものを食べると、その食べ物を構成する原子が、即座に身体を構成する一部となる。 …

ながれついて灯る

年末に砺波市の宮の森カフェでやったライブ「ながれついて灯る」の動画。 11歳の小春ちゃんとのコラボ。 僕は小春ちゃんの唄の大ファンで、いつか一緒に唄いたいと思っていたので、とてもうれしかった。 youtu.be この日のイベントは、tatacraftの流木ライ…

ある重み

1月5日 新年最初の仕事は広島。 休んだ後の仕事は、気がつくことが増える。 忙しいと荒む。気づくこと自体が減る。 別世界に身をおく時間が、大事なのかもしれない。 今年は、面白いことをしたい。 つまらないことはしたくない。 夜は、ゲストハウスに泊ま…

神は死んだか

1月2日 映画もののけ姫を、導入部分だけ観る(子供らが怖がるので中断) 恨みを持ったことで、祟り神という魔物になってしまった猪が、人間の村を襲う。 主人公のアシタカは、敬意をもった言葉で猪を鎮めようとするが、猪は止まらず、やむなく矢を射って殺…

初夢

1月1日 正月の朝、起きぬけの布団の中で、ゆい(長女)とみき(次女)のケンカの仲裁をする夢を見た。 夢というより、イメージ。 みきが実家のテーブルで、宿題かなにか書いており、横でゆいが口を出して、喧嘩になっている。 詳細は忘れてしまったが、ユイが…

不器用な雪掻き道

僕の家に隣接する古い長屋には、高齢者の方が、数人暮らしている。 みんな、とてもいい人達で、我が家の子どもたちの、容赦ない喧噪にも「元気になるよ」と言ってくれ、助かっている。 家に一番近い部屋の、一人暮らしのおじいさんとは、窓越しによく話をす…